深澤雄太は、日常の風景やそこに流れる感情を、豊かな色彩で描き出す作家です。
東京都日野市で生まれ育ち、現在は国立市のアトリエを拠点に活動。まるで色彩を自在に操るように、光や空気、心の温度までも表現する独自の色使いが特徴です。
今回の個展「Special day」では、移りゆく感情や、大切な日常のかけらを切り取った新作が並びます。今回のインタビューでは、創作の原点や表現の変化、そしてこれから挑戦していきたいことについてお話を伺いました。
深澤雄太 Yuta Fukazawa
個展
2022個展 gallery tagboat「Stand up!!」(銀座)
2022個展 9s gallery by TRiCERA「-どこにでもある青-」(西麻布)
2023個展 gallery tagboat「soul」(人形町)
2025個展 gallery room a ArtSticker「NATSUKASHI」(浅草)
2025個展 gallery tagboat「Special day」(人形町)
グループ展
2022ポート竹芝「tagboat art fair 2022」(浜松町)
2022博多阪急「tagboat art fair 2022」(博多)
2023三越銀座「tagboat art fair GINZA 2023」(銀座)
2024大丸東京「tagboat art show 」(東京駅)
2024三越銀座「tagboat art fair GINZA 2024」(銀座)
最近「自分が変わったな」と思った瞬間はいつですか?
2年前に大きな病気を経験してから、制作スタイルが変わりました。どう変わったのかと言うと疲れたら「ちゃんと休む」ということを心がけています。以前は、疲れていても制作に没頭してしまい、心と体の不調を見過ごしてしまいがちでした。しかし、現在は体調管理も気をつけることで安定した制作に取り組めています。また病気を経験したことで、普段当たり前だと思っていた日常の小さな幸せも当たり前じゃないことに気づくことができました。
2023年のアトリエインタビューの際に、作品が完成に向かう瞬間を「エンジェルが来る」と表現されていましたが、現在も変わらずに来ていますか?もしくは他に感じるものがありますか?
以前は調子が良くなってきた時に「エンジェルが来る」と言っていたのですが、最近はあまり言わなくなりましたね。作品が完成してないわけではないのですが、何となく今はそういうテンションじゃないというか。今はどちらかというと何か降りてくるような感覚よりも、冷静に絵と向き合って完成させる時間が増えた気がします。
「作品が完成した」と感じる瞬間、音や匂い、体感としてどんな感覚がしますか?
「作品が完成した」という感覚は、今でも非常に判断が難しいのですが、その時の自分の感性や感覚に素直になることが大切だと思います。今の自分にしか描けない絵を大切にすることを心がけて制作に取り組んでいます。
制作の際に『本当に良い作品なのか』と不安になることもあると思いますが、そんなとき、どうやってその気持ちを乗り越えていますか?
気持ちの乗り越え方は残念ながらないと思います。ずっと不安なことは、大体不安なままの事が多いです。ただ不安という気持ちは悪いことではなく、ただ自信がないわけではなく、頑張ってきた事が大きければ大きいほど生まれてくる感情だと思うんです。だから、不安という気持ちを素直に受け止めて、次の制作へのエンジンに使うことが、不安の乗り越え方なのかなと思います。
今回の個展では、どのような風景を描かれていますか?
僕はずっと生まれてから東京都日野市に住んでいて、故郷の身の回りの風景を描いていたのですが、3年前に少し離れた国立市にアトリエに引越しをしました。どちらに住んでいた時も共通として都会の街並みではなく、何でもないような道がある風景だったり、木や自然が入った人の暮らしに根付いているような景色が現在も変わらず、好きなのでそういった風景を今回の個展でも描いています。
作品を描く際、どのようにしてインスピレーションを得て、イメージを具体化していきますか?
作品を描く際のインスピレーションは、普段の生活の中から得ています。それは景色としてそのままかたちを捉えるのではなくて、今の自分自身をかたち作る象徴的なかたちとして景色を扱うことでイメージを具体化しています。
これまでの人生や創作活動の中で、特に影響を受けた人物や作品はありますか?その理由も教えてください。
僕は高校生ぐらいから、ポールセザンヌの絵に影響を受けてきました。ポールセザンヌの絵は、時間と共に移りゆく景色の流れを絵から感じさせられます。ポールセザンヌの絵は、勿論動かないのだけど、まるで動いているような筆致の動きに魅了されました。
過去に描いた作品を振り返って、“あの時はこうだったな”と今になってわかることはありますか?今回の新作と、何か違いを感じる部分があれば教えてください。
僕は20歳の時から現在プロとして8年間、画家として活動していますがどんな絵もその時にしか描けない絵を描いてきたと分かることがあります。今住んでる場所や自分が置かれた環境やその時の気持ち、が全て重なって1つの作品がつくられている為、どれ1つとっても同じ時はなく、その時の貴重な時間だったと後になって分かります。
最近、意識的に“こういう時間”を大事にしているなと思う瞬間はありますか?
最近は誰かといる時間を大切にしています。どうしても職業上、部屋にこもりがちになってしまうので、自分があえて人がいる場所に行って人と楽しく話したり、近所の子供と遊んだり、絵の離れる時間をどう過ごすかを大事にしています。
個展の新作に込めた“今の深澤さんの気持ち”を聞かせてください。
今回の個展は、国立のアトリエに引っ越してから3年が経ち、また新たな感性で新作に取り組むことができました。僕が大好きな島、てしまの風景も多く描かせて頂きました。僕が変わったところと変わらないところ、移りゆくその感性に注目して絵を楽しんで頂けると幸いです。
今後の制作において挑戦したいことや意識していきたいことを教えてください。
僕がおじいさんになっても絵を描き続けることが、挑戦したいことです。その為には、自分に素直であることを忘れずに制作に取り組んで参りたいと思います。だから、まだまだ道半ばでありますが、その時にしか描けない絵をこれからも描いていきたいと思います。
8月1日(金)からギャラリーにて個展「Special day」を開催いたします!
深澤雄太「Special day」
2025年8月1日(金) ~ 8月19日(火)
営業時間:11:00-19:00 休廊:日月祝
※初日の8月1日(金)は17:00オープンとなります。
※オープニングレセプション:8月1日(金)18:00-20:00
入場無料・予約不要
会場:tagboat 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町 1F